インフルエンザウイルスの超高感度モニタリング

 弊社と鹿児島大学隅田研究室は、無症状(不顕性感染か潜伏期間中)のヒトの唾液中からインフルエンザウイルスを超高感度で検出し、モニタリングするサービスを開始しました。

 開発したナノ粒子を利用したインフルエンザウイルスの超高感度検出法は、ウイルスを濃縮することで、一般の方法では検出限界以下の極超低濃度のウイルスの遺伝子検出が可能であり、インフルエンザ症状を発症してない不顕性感染者を特定することができます。また、定期的にこの検査をおこなうことで、症状が出なくとも、唾液中のウイルス濃度をモニタリングすることが可能です。

 この「インフルエンザウイルスの超高感度モニタリング技術」を用いた研究成果が、カルピス株式会社によって2011年7月12日の日本乳酸菌学会2011年大会で発表されました。
 乳酸菌「ラクトバチルス・アシドフィルスL-92株」を含むヨーグルトの摂取群、非摂取群の唾液試料から、ナノ粒子を利用した超高感度インフルエンザウイルス検出法によって、8週間にわたり毎週、インフルエンザA型ウイルス濃度を測定しました。
 期間中、インフルエンザ感染の疑われる38℃以上の発熱を示した被験者は5.4%(総計221名)だったのに対し、超高感度検出法によってインフルエンザ陽性を示した被験者は25.6%(総計207名、検査開始直前検査でウイルスが検出された被験者を省いている)となり、不顕性感染者の唾液中のウイルス濃度のモニタリングに成功しました。
 検出したウイルス濃度に応じたスコアを乗じて平均値を計算する加重平均スコアをみると、摂取群ではウイルス濃度が有意に減少していることが明らかとなりました。さらに、期間中のウイルス感染率の経時変化にも、摂取群と非摂取群との間に統計的に有意な差がみられました。
これらの結果は、高熱の発生率や風邪様自覚症状の解析結果を裏付けるかたちで、「ラクトバチルス・アシドフィルスL-92株」がインフルエンザの感染・増殖を抑制する可能性を示唆しました(カルピス社のプレス発表 を参照)。

 このように、超高感度モニタリングをおこなうことで、ウイルス感染のより詳細な解析・数値化が可能となり、客観的なデータの作成にも役立ちます。さらに、この技術はインフルエンザ以外のウイルスにも応用可能です。