SGNPを用いたウイルスの超高感度検出方法について

 ナノ粒子を利用したインフルエンザウイルスの超高感度検出法の開発について

 弊社と鹿児島大学隅田研究室では、共同で無症状(不顕性感染か潜伏期間中)のヒトからインフルエンザウイルスを検出できる技術を開発しました。

 すなわち、ウイルスが細胞に感染する際に、細胞表面の糖鎖(糖分子が複数個繋がった分子)にまず吸着するという性質を逆手に取り、ウイルスが吸着する糖鎖を直径15ナノメートルほどの大きさの金のナノ粒子に固定化させたSGNP(糖鎖固定化金ナノ粒子)を調製しました。SGNPとウイルスを混合すると、ウイルス表面にSGNPが糖鎖を介して吸着し、ウイルスは重くなって沈殿します。

その沈殿を集めることによってウイルスが濃縮され、リアルタイムPCRで調べたところ、ウイルスが約1000倍濃縮されたことがわかり、一般の方法では検出限界以下の極超低濃度のウイルスの遺伝子検出が可能になることが示唆されました。

 このSGNPによる濃縮に基づくウイルスの高感度検出法は、サンプルに唾がはいっていても、鼻粘膜を綿棒でぬぐって得た臨床サンプルについても適応できました。

 さらに、某大学で起こった新型インフルエンザウイルスの集団感染の疑いを調べるために行われた自主検査法として使用され、インフルエンザ症状を発症してない不顕性感染者を特定することもできました。このことは、インフルエンザにたとえ罹患しても、症状が出る前に発見でき、早期治療によって症状が出ないまま完治させることが可能になることを意味しており、受験生や会社VIP、また医療関係者などインフルエンザの症状が出る前に対処しないとならない人には朗報となると思われます。

 さらには、トリ由来の高病原性H5N1インフルエンザウイルスのように、なんとしても水際で留めなければならないウイルスの検査法としても有用だと考えます。 私たちは、今秋~冬のインフルエンザ流行期には間に会うように、唾液中のウイルスを30分以内に検査可能な自動検査システムを機器製造メーカーと協同開発しており、9月末には1号機が完成する見込みです。